明治時代、西洋に追いつこうと、小学校や警察署、役場など、それまでの日本にはなかった、近代的な建築が各地でたてられていきます。それらの建物は、江戸時代からの伝統を脱却した、あらたな建築デザインが目指されました。登米町で一般公開されている旧登米高等尋常小学校も(教育資料館)、旧登米警察署庁舎(警察資料館)も、そんな新風を目指す、ハイカラな洋風建築にみえます。
けれども、よくみると、なにかおかしいのです。屋根は伝統的な日本瓦ですし、洋風の石造建築ではなく、大工さんがつくった木造建築。柱の頂点には、「イオニア式オーダー」と呼ばれる、西洋建築のディテールが採用されるものの、本家のヨーロッパ建築の形やプロポーションとは違う独特なかたちです。
見よう見まねで新たな西洋建築を目指しながら、実際は伝統的な日本建築の技術を応用した、明治はじめの建物を「擬洋風」の建築と呼びます。明治村を彩る小学校も、警察署も、ハイカラでありながら懐かしい雰囲気をもつのは、形は西洋を模しつつ、その技術や素材は日本の伝統技術が使われているからです。
「みやぎの明治村・登米町」は朝ドラ「おかえりモネ」の舞台・登米市にあります。みやぎの明治村をおよそ3時間、コンパクトに体感できる観光まちあるきモデルコースも紹介しています。