みやぎの明治村・登米町の「歴史的町並み」を楽しむ! #1

朝ドラ「おかえりモネ」舞台の登米市にある寺池園(みやぎの明治村・登米町)東屋の六角形の木組み
みやぎの明治村「寺池園」の東屋

〔六角形の木組み〕

寺池園と旧登米高等尋常小学校

寺池園の北上川を見晴らす東屋で、目をひくのが、屋根を支える六角形の木組みです。普通、木造建築といえば直角の構成ですが、この東屋は六角形のかたちをしています。それゆえに、上部の木組みも六角形となるわけです。

 

直角の木組みから、六角形の木組みへと、一見たいした違いはなさそうです。けれども、ここには大きな技術の違いがあります。六角形の木組みには、大工棟梁の高い技術が要求されます。というのは、直角形で木材と木材を接合しても、多くは直角の部材加工で済みます。けれども、六角形になると、45度の角度がほとんどになって、接合部の加工・設計が√計算となって、いっきに複雑化するからです。

 

といっても、伝統的な大工技術は、この六角形がつくりだす45度の壁を、極めて効率的に乗り越えてきました。それは、「曲尺」(さしがね)という日本独自に発明された大工道具があったからです。

 

 

曲尺は、L字型の金属製の定規です。大工はこの曲尺を使って、墨を打ち、木を加工していきます。この曲尺の大きな特色は、その裏面にあります。裏面をみると、√2(=1.41…)の目盛りがふられているのです。実はこの裏面の目盛りのおかげで、45度の複雑な刻みを、わざわざ計算するのではなくて、この定規をあてることで、刻み方を設計することができるのです。電卓を使わなくとも、現場で、「曲尺」を駆使して、複雑な45度がつくりだす加工を設計できるわけで、とても考えつくされた便利な大工道具といえます。

 

登米市登米町「みやぎの明治村」には、寺池園の東屋のほかにも、六角形の木組みをみることができます。まさに、登米のシンボルともいえる旧登米高等尋常小学校「教育資料館」です。教育資料館を見学の際には、ぜひその玄関で、天井を見上げてみてください。木と木とが複雑な角度で見事に隙間なく接合された、「六方」と称される見事な構造を目にすることができます。

 

重要文化財・旧登米高等尋常小学校の六方
重要文化財・旧登米高等尋常小学校の六方
朝ドラ「おかえりモネ」ロケ地・登米市にある登米町「みやぎの明治村」教育資料館
重要文化財・旧登米高等尋常小学校(教育資料館)

 

さらにもう一軒、六角形に類似する建物が「みやぎの明治村」にあります。教育資料館から北上川へと向かった、「蔵造り商店街」の一角を占める海老喜まちかど館(旧店舗)です。登録有形文化財のこの建物は、普通の町家と趣きを異にして、十字型の交差点に向かって、隅切り(45度の角度の平面)の特徴的な形をしています。当然、この45度の角度をつければ、複雑な構造を「曲尺」で設計しなければならないのです。けれど、この隅切のおかげで、通りに面してユニークな表構えのデザインが実現しています。

 

「六角形の木組み」の工夫がわかると、登米の「みやぎの明治村」の歴史的町並みをつくりだした大工の知恵が、ひしひしと迫ってくるかもしれません。

 

 

東北工業大学建築学科中村研究室による再生プロジェクト「海老喜まちかど館」
登録有形文化財「海老喜まちかど館(旧店舗)」

「みやぎの明治村・登米町」は朝ドラ「おかえりモネ」の舞台・登米市にあります。みやぎの明治村をおよそ3時間ほどでコンパクトに体感できる観光まちあるきモデルコースも紹介しています。

 

朝ドラ「おかえりモネ」ロケ地・登米市にある登米町の寺池園
みやぎの明治村・登米町の観光まちあるきコースへ